万国正義院は、世界のバハイに宛てた2003年1月17日付けのメッセージで、五年計画の開始以来、集団入信のプロセスがどのように進行してきたかについて適切な分析を提示されました。ここに作成した資料は1月17日メッセージを私たちの「共同の経験」を振り返る骨子として使い、経験から学んだことを検討し、系統的な成長の促進という課題にあらたな見通しを提出するものであり、五つのセクションに分けられています。
1.成長のビジョンこの二年間、世界中のバハイやバハイ機構は成長の文化を生み出すため、五年計画の基本的戦略の実施に向けて努力してきました。その戦略は万国正義院のメッセージに簡潔に述べられていました。
五年計画では、二つの基本的な運動に焦点をあてなければならない……。最初はトレーニング・インスティチュートが設けた一連のコースを、バハイが順次進むことで、これは大業の人材を作るためである。つぎは、最初の運動に刺激されて、地理的に区切られたクラスターが一つの成長段階から次の段階に上げられていくことである。1
この二つの運動はバハイ世界の学習経験の中核となってきました。この資料はそれらの運動に焦点をあてて検討・分析したものです。最初の運動は四年計画中に、トレーニング・インスティチュートのネットワークが設けられたとき始まりました。つぎの運動は、万国正義院の指導の下で、各全国バハイ共同体が、それぞれの管轄地域を地理的なクラスターに分けはじめた五年計画で着手されました。
……各全国精神行政会はクラスター分けと言う作業を比較的容易にこなした。これは、バハイ共同体をその強さではなく、単純に地理的・社会的基準に基づいて、隣接する地域にクラスターと呼ばれる単位の管轄地域を作るものである。2
万国正義院は2002年のレズワン・メッセージで、クラスター分けが諸機構とバハイに与えた系統的な成長のビジョンについて述べておられます。「このような地理上の分類によって、秩序ある拡大と強化のパターンが実現できるようになった……。」
1.1 クラスターの分類場合によっては、クラスターの境界は「おおよその見積もり」で決め、実際にやっていく中で変更したりします。このことを念頭に、各全国精神行政会は、万国正義院の2001年1月9日のメッセージに示された信教の発展段階に関する大まかな規範に沿ってクラスターを分類しました。これについて万国正義院はつぎの点を強調しておられます。
クラスターのランク付けは、その地域の信教発展状態を云々するものではなく、むしろ、それはその地域の成長能力を評価する方法なのである。そうすることで、地域の進化に適したアプローチが採用できる。4
各全国精神行政会と地域バハイ評議会は、成長のプロセスを系統的に進めるために、クラスターが一つの段階から次の段階に移るための基準を設けました。その基準は、数的な目標であったり、質的なものであったりしました。クラスター分類上の最小限の基準設定は主に経験から生まれるプロセスです。2003年1月17日のメッセージで万国正義院はこの仕事の重要性をつぎのように述べておられます。
…. 妥当な評価に必要な基準作りは各機構に継続的な課題となった。 ...厳格な基地域評議会が設立されているところでは、概して、評議会はその管轄内のクラスターの状況を評価するのに最も適した立場にあります。顧問補佐やクラスター・レベルの諸機関からのインプットもまた欠かせません。万国正義院によれば、この評価では、つぎの「二つの基準が特に重要」と見なされます。
ひとつは、そのクラスター内の信教拡大と強化のためにインステイチュートで開発重要なことは、諸機構が進歩の度合いを定期的に評価することです。それにより、クラスターで用いられた戦略が「その発展に適切」であるかどうかが分かり、それが分かればクラスターのランクが変更され、あらたな優先順位が定められます。
1.2 優先順位の設定全国および地方の機構は成長能力でクラスターを分類することの他に、どのクラスターに焦点を当てるべきか優先位を定めました。これは五年計画の早い時期に行われました。クラスターを新しく開拓することや、弱いクラスターを強化することに焦点を当てる場合もありますが、大抵は、その国でより高度に発達したクラスターに重点を置きます。諸機構が、異なった段階に属するクラスターを次の段階に発展させるために必要な戦略を把握してしまえば、可能性のあるクラスターを数ヶ所選んだ方が有利ということが明らかになるでしょう。つまり、それらのクラスターには加速的な成長に必要な条件が整っていて成長の集中プログラムを設定するのに有利だからです。万国正義院の代理からある全国精神行政会に宛てられたつぎの導きはこの点を明らかにしています。
あなた方が現在直面している重要な課題は、集中的な成長プログラムを設定できるようなクラスターを一つか二つ、オーストリア内に選ぶことです。これにはまず、国内のインスティチュートをもっと発達させるよう援助しなければなりません。つまり、かなりの数の人びとがファシリテーターとしての訓練を受けられる程までコースを終え、選択されたクラスター内でスタディ・サークルの数を増やせるようにならなければなりません。これまでに、オーストリア内の少数民族の間でバハイに対する受容性が大きいと証明されたので、その人たちが大勢住むクラスターを少なくとも一つ選ぶべきでしょう……。8
万国正義院は別の全国精神行政会に宛てて、可能性が高い発達した地域の幾つかに焦点を合わせるべき理由を説明しておられます。
あなた方は地域評議会と大陸顧問と協議して、数ヵ所の小地域を確認しました。それらの地方共同体では、強力なインスティチュート・プロセスで力を得てきています。五年計画の二年目が目前に迫っている今、もしもまだ実施していないようなら、それらのクラスターのうち二、三を選んで、今後数ヵ月それらに集中するよう万国正義院は望んでいます。そうすれば、それらのクラスターは集中的な成長のプログラムに着手できる段階まで達するでありましょう。9
1.3 一連のコースを順次に進めるに焦点を当てている。この面での進展は、並行するプロセスの効能に大きく依存するということがはっきりしてきた。このプロセスは、その地域のインスティチュートが提供する一連の主軸コースを大勢の友が次々と進むのを助けるものである。10
この二年間でインスティチュート・プロセスに勢いがついてきたこと、とくにバハイた基本コースの、少なくとも一つは終了したという人の数は上がり続けています。しかし、最大の成果は、大勢のバハイがより上のコースに進んだことです。たとえば、五年計画開始から18ヵ月間に、一万以上のバハイがルヒのBook6を終了しました。これは2001年4月以来、500パーセントの増加になります。さらに、八千人以上が Book7を終え、訓練されたファシリテーターの予備軍が大いに拡大されました。
徐々に、世界中の全国共同体の大半が基本コースとしてルヒ・インスティチュート・カルキュラムを採用するようになりました。このカリキュラムはとくに大規模な拡大のために、長年にわたって開発されてきたものです。すべての全国共同体でインスティチュート・プロセスの促進に焦点とエネルギーを向けていますが、中には訓練と画一的なカリキュラムの使用が強調されていることに懸念を表したバハイたちもいます。このように大多数のバハイに一定のカリキュラムを取らせるといった大規模な事業においては、この教材は自分の学びのスタイルに合わないという人が出てくるのも当然です。これに関しては万国正義院の代理から個人に宛てられた手紙につぎのような説明があります。
……多様な背景をもつ国々からの報告によると、ルヒ・ブックを採用した多くの全国バハイ共同体でこの教材は非常に効果的であると述べています。ひとつの教育プログラムにすべての人が興味をもつとはかぎりません。それに参加したくない人たちもいるでしょう……。しかし、あなたの国の機構が、集団入信のプロセスを促進させるために一定のコースを選んだのです。万国正義院は、あなたの手紙からあなたがこの選択を尊重し、そのプログラムについての自身の評価を不和の原因としたくないと思っていることを察し、満足しておられます。11
万国正義院の代理によって書かれた別の手紙で、個人のバハイとインスティチュート・に役立つものというのは正しくありません。熟練し、深い知識を有すバハイの多くがインスティチュート・プロセスに参加しています。かれらは、自分たちの国における集団入信促進に貢献するため、さまざまなコースに生徒として、あるいは教師として参加しているのです。その参加により、かれらは成長の必要条件とその維持に必要な行動について理解を深めています。さらに、真理の光を改めて感じ、奉仕への諸能力をのばすことができました。彼らは、独自で行うバハイ書の研究を妨げられるどころか、むしろ、各々の能力とニーズにしたがってトレーニング・インスティチュートに参加し、そのプロセスを高めてきました。しかし、そのような参加はすべてのバハイに求められているものではないことは明らかです。最終的には、各人が信教への奉仕のあり方を選ぶのです。重要なのは、インスティチュート・プロセスはこれに参加したくない人たちによっても支持されるべきということです。12
同時に、万国正義院は、インスティチュートで学ぶ人たちやファシリテーターとして奉仕する人たちに特別の称号を与えたり、インスティチュートに参加したということで他のバハイに対して差別感をもったりしてはならないと説明しておられます。
インスティチュートの訓練に関して言えば、あるコースを取るために他のコースを終了しなければならないというのは当然のことです。しかし、このことをほかのバハイ活動に適用してはなりません。また、国内で『訓練を受けたバハイ』と『訓練を受けていないバハイ』を区別すべきでないことは明らかです。ある面の奉仕では、当然、資格を必要としますが、知識や経験の程度にかかわらず、信教の活動に参加する道はすべてのバハ イに開かれているべきです……。13
カリキュラムの問題に時間をとられることなくシステムを実施しはじめた共同体は、多くのバハイに対するコース提供と、インスティチュート・プロセスの強化についてより迅速に学ぶことができました。しかしながら、五年計画の始めのころは、ほとんどの国でインスティチュートの最初のニ、三のコースしか終了していませんでした。インスティチュート・プロセスを促進し、はっきりとした焦点を維持するという全国精神行政会の課題については万国正義院の代理がある全国精神行政会に宛てた手紙に的確に述べられています。
大勢のバハイに一連のコースを取得させるのは難しい仕事です。これには、増加するファシリテーターを組織し、スタディ・サークルを設定し、参加者の進歩をモニターする仕事が含まれます。このプロセスを担当するバハイは明確なビジョンをもたなければならず、また、注意をそらされることなく任務を果たせる状態でなければなりません。14
1.4 「進取の気性を呼び起こす」四年計画で、万国正義院はバハイが上級コースを終えるにしたがって大業に奉仕する能力も高められると強調されました。1月17日のメッセージでこの力学が確認されています。
世界中に見られる活動の高まりで、これらのコースがそのクラスターの次段階へのこの「活動の高まり」はスタディ・サークル、およびその他の核となる活動が増えてきていることに何よりもはっきりと見られます。バハイ世界センターの統計によると世界中のスタディ・サークルの数は2001年4月の3,600から、2002年10月にはほぼ9,000に増えています。同じ期間に、祈りの会と子供クラスへの参加者数はそれぞれ80パーセントと63パーセント増えました。この二つの活動の増加はアジア諸国でもっとも高い率を示しています。これらの活動が急増した理由は主に個人のバハイが率先して実施したことによります。かれらは、トレーニング・インスティチュートのコースで学んだことを行動に移したのです。
2.クラスターを次の成長段階に上げていくバハイの中にあらたに発見された熱意とイニシアチブは、処女地の開拓に示されました。五年計画の最初の二年間、ほとんどの国は成長の集中プログラムに着手できるように先進的クラスターに力を注いできましたが、処女地が開拓されると、系統的拡大のための確固とした土台を敷くことに努力を集中させました。「インスティチュート・プログラムに経験を積んだ」パイオニアの価値について万国正義院が助言されていることから、諸全国精神行政会はバハイのいないクラスターへのホームフロント・パイオニア(短期、長期の)にインスティチュート・プロセスを促進するよう奨励されました。一般的に、人材が増えてくるにつれ、スタディ・サークルは祈りの会やファイヤサイドと共に、それらの地における主要なティーチング手段となります。万国正義院はこのことを歓迎しておられます。
期待通り、目標処女地(クラスター)が開拓されるとすぐに、インスティチュート・プログラムに熱心な参加が得られた。そして、このトレーニング・コースを通して知識と技術を修得した彼らは、新しい地域に信教を設置し、生まれたばかりの共同体をしっかりしたものにするために立ち上がっている。17
カナダの全国精神行政会は、2002年レズワンまでに未開発のクラスター9ヵ所にホームフロント・パイオニアを移住させる目標を発表し、5週間の全国インスティチュート・キャンペーンを2回開きました。こうして計39人のバハイがその国で設定されたインスティチュート・コースを終了し、2002年レズワンまでに目標地のうち6つが達成されました。それらパイオニアの5人は訓練を受けたファシリテーターでした。2002年9月には目標地の全てが開拓されました。
したがって、処女地開拓の戦略でもっとも重要なのはホームフロント・パイオニアがファシリテーターとしての訓練を受け、新しい地にインスティチュート・プロセスを設立するように激励することでした。時には、十分に発達したクラスターに隣接する土地を目標とするのも有利であるということが証明されています。それらの地にはスタディ・サークルをできるバハイが通いやすいからです。実際、発達したクラスター内には訓練を受けたファシリテーターが増えているので、その人たちが進んで奉仕をすれば、ホームフロントの目標も一層迅速に達成できます。五年計画初年度のパイオニアの移動についての報告を見ると、725人のバハイがホームフロント・パイオニアとして立ち上がっています。そのほぼ半数はアメリカ大陸のバハイです。
2.2 信教が新たに紹介されたクラスターでのインスティチュート・プロセスの設定次の段階にあるクラスターの特長について、1月9日のメッセージにこう書かれています。つまり「少数の孤立したバハイやグループ」が存在し、しばしば多彩な活動が行われているクラスターです。しかし、それは、国、クラスターの成長の変遷、その地が田舎であるか都会であるかによって違います。
この段階のクラスターでは二つの状況が支配的です。あるクラスターは過去に大きく拡大したが、現在では機能している地方精神行政会もなく、活発なバハイの数も限られているという状況にあります。もう一つは、いくつかの孤立した地域やグループ、あるいは機能している地方精神行政会がある状況です。ただし、それらの地方精神行政会の中には初歩的な機能を果たすのがやっとというものや、長い経験を持つ活発な共同体ではあるがインスティチュート活動がまったく行われていない、もしくは最小限の活動しかしていない状況にあります。これら二つのタイプのクラスターに対する一般的なアプローチとしてあげられるのがインスティチュート・プロセスの強化ですが、その具体的な方法や速度はその地域の状況によってかなり異なります。
大規模拡大を経験したクラスターでは、布教チームが、好意的に応答した友らとの連絡を再開し、その人たちを徐々にインスティチュート・コースに導くという方法が効果的です。万国正義院は、何年間も連絡がたえている信者を大量に抱える地域を持つある全国精神行政会にこのような方法をとるよう勧めると共に、次のように説明しておれます。
この挑戦に応えるため、多くの国では、名簿の上では多数の信者を持ちながらも、時の経過とともにバハイ活動が停止してしまっている地域に努力を集中させています。あなた方の国は、具体的なプログラムを作り、有能な布教者によって構成されるチームを各共同体に送り、連絡可能な信者と時間を過ごし、感受性を示す人に教えを説き、良好な状況が確立された時点でインスティチュートを導入し、コースを提供するという方法をとるよう勧めます。18
アジアのいくつかの全国共同体ではインスティチュート・コースのBook2を終了した信者たちがこのような訪問活動を行っています。この方法を採用したバングラデシュ、インド、フィリピンでは長年不活発であった多くの信者たちがインスティチュート・コースや祈りの会に参加し、再び活動的になっています。万国正義院は上に引用した手紙の中でさらに次のように説明しておられます。
長年、休止状態にあった共同体で繰り広げられるこのようなキャンペーンの目的は、名簿にあるすべてのバハイを発見してその現状を把握することではありません。むしろ、名簿は、有意義な会話を交し、精神的な真理を探究し、バハイに関してより多く学びたい人々との出会いの出発点と見なすべきです。19
活動的な共同体を持ちながらもインスティチュートの存在が希薄なクラスターでは、その地域の機構や信者が、計画の実施においてトレーニング・インスティチュートが果たす中核的役割について明確なビジョンを持ち、この優先課題に自らを捧げるようにさせることが最初の課題です。このことが理解されればこのようなクラスターは比較的早く前進し、インスティチュート・プロセスを展開することができます。
実際、この段階のクラスターでインスティチュート・プロセスを前進させるということは、ファシリテーターやスタディ・サークルの数を増やし、より多くの信者をインスティチュート・プロセスに取り込んでいくことです。この目標は、各クラスターの人的資源の水準に応じた様々な方法によって達成できます。たとえば、短期国内パイオニアをファシリテーターとして活用すること、近隣のクラスターに住むファシリテーターがスタディ・サークルを提供すること、これら未開発のクラスターに住む友らがその地域で開催されるトレーニング・コースや集中コースに参加することなどが上げられます。
このようなクラスターにスタディ・サークルが多数できてくると、より多くの友らがインスティチュートのBook1とBook2の学習に加わるようになります。しかし、ここで万国正義院は、一連のコースによって構成される完成されたシステムを設置することの価値と、その潜在的影響力に注目して次のように書いておられます。
問題は、単に何パーセントかの人に一つか二つのコースを学習させるということではなく、効果的な遠隔教育システムを通じて、完成された一連のコースを学習させるということなのです。インスティチュートがこれを成し遂げられれば、それに対応してより多くの友らが信教への奉仕に立ち上がり、それによって布教活動の速度が増すでしょう。そして、新入信者は着実に増え、その人たちがインスティチュートのプログラムに参加することでこのシステムは全体的に常に拡大し続けるでしょう。20
2.3 力強いインスティチュート・プロセスによるクラスターの前進「一つ、もしくは二つのクラスターのレベルを集中的な成長プログラムが設定できる程までに引き上げる」21ために、集中的な成長に向けてより強力なクラスターを準備することに多くの努力が払われてきました。これらのクラスターを強化する手段で主なるものは、インスティチュート・キャンペーン、反省会、核となる活動を徐々に増やすことです。この目的は、探究者をこれらの活動に招くことによってきわめて容易に達成されます。この段階にあるクラスターの機構や信者たちの豊富な経験からたくさんのことが学べます。
2.3.1 インスティチュート・キャンペーン「力強い」インスティチュート・プロセスの意味については様々な解釈がありますが、先進的なクラスターではインスティチュート・プロセスを押し進めるためかなりの数の友らに一連のコースを通過させ、ファシリテーターの数を急速に増やす方法がとられました。時には、この目的はスタディ・サークルの数を増やす努力を促進させるインスティチュート・キャンペーンを行うことで速やか、かつ効果的に達成できます。一般に、これらのキャンペーンの趣旨は、すでにコースの最初の幾つかを完了した友らで、願わくはファシリテーターとして奉仕したことがある者らが、残されたコースの幾つかを短期間に学習し終えることにあります。このプロセスで高められた熱意で、「持続的成長の前提条件」22 を理解し始めた有能な信者グループがかなりの規模で創り出されています。
5年計画の最初の数ヶ月間、ロシアのアジア地域で繰り広げられたインスティチュート・キャンペーンにより、76人がコースの6つの本をすべて完了し、コースの本のすべてにファシリテーターとして奉仕する準備を終わりました。同様のキャンペーンがオーストラリアのパース、ベラルシュのミンスク、カナダのバンクーバー、モンゴルのウランバートル、パキスタンのカラチ、米国のロサンゼルスという都市型クラスターや、カメルーン、中央アフリカ共和国、ケニア、インド、イタリアの先進的な農村地帯や準都市型クラスターでも実施され、その結果、すぐにクラスター内のスタディ・サークルの増加をみました。このような努力に関して、万国正義院は次のように述べておられます。
多くの国では、訓練されたファシリテーターの数を増やすために繰り広げられたキャンペーンにより...トレーニング・インスティチュートのプロセスがかなり強化されましたが、これによってこの仕事[クラスター内の発展]の推進に活力が与えられていることを見ると大いに勇気づけられます。23
活発で、強化された信者を有する地域では、共同体のメンバーがこのプロセスに取り組むことを一旦決意すれば、各人は速やかに一連のコースを終了しています。この仕組みについての良い例を西オーストラリア州に見ることができます。この州では、いくつかのキャンペーンを実施し、より多くの友らをインスティチュートに取り入れるため集中的に努力した結果、総計1,500人のバハイの半数以上がインスティチュート・コースに参加しました。探究者も参加していた合計52のスタディ・サークルは、3ヵ月もたたない内に103に倍増しました。この「布教活動の加速化」により、過去2年間の年間入信者の3倍に当る36人の入信がありました。
2.3.2 核となる活動を増やす「スタディ・サークル、祈りの会、子供クラスを増やすことと、これらの活動によってもたらされる拡大」24 は、クラスターの次段階への前進に直接関連するものです。訓練を受けた人材が拡大するにつれ、自然とこれらの活動をはじめとするさまざまな活動が増えてきます。既に述べたように、ファシリテーター訓練のための過去2年間の努力は世界中のスタディ・サークルの数に多大な影響を及ぼしました。スタディ・サークルの総数が1万に達しただけでなく、参加者の3分の1はインスティチュート・プログラムの更に上級の学習に取り組んでいます。もっと多くの信者や探究者をスタディ・サークルに取り入れようとする活動は各クラスターに新鮮な原動力を与えています。より多くの新入信者がインスティチュート・コースに加わることによって「システム全体が常に拡大の状態に置かれます。」25
インスティチュート・プロセスは人材拡大を生みだし、それによって祈りの会と子供クラスという他の二つの核活動が増えています。
インスティチュート・コースに参加することにより、地域の信者たちの間に人間存世界の多くのところで祈りの会の数を増やすために特別な努力をしています。多くの場合、その努力は精神生活に関するインスティチュート・コースに感化された信者たちに対し自分たちで祈りの会を持つよう勧めることから始まります。その外にも、ノン・バハイの家で祈りの会を開催するという、意外な方法が用いられています。時にはノン・バハイが自分たちで会の準備をしたりします。マレーシアで、先進クラスターを中心にこの方法を活用したところ、半年間で祈りの会の数が10倍に増え、参加率も4割上昇しました。
農村でも、都会でも、祈りの会はかなり容易に増やすことができます。アジアでは、祈りの会の参加者が18ヵ月間で200パーセント近く増え、南北アメリカやヨーロッパでも50パーセント増加しました。
すべての大陸で子供クラスの数の著しい増加が見られますが、この増加は「主要コースの学習の、初期の段階で受けた訓練の自然な結果」27であると確認されます。強力なクラスターでの子供クラスの増加は、訓練を受けた子供クラス教師の数の増加にかかっています。バハイの子供の数が限られている場合は、一般社会への呼びかけが必要となります。子供クラスの増加で最大の記録をだしたのはアフリカです。2001年4月から2002年10月までの間にアフリカの子供クラスの数はほぼ倍になりました。
先進クラスターにおける核活動の増加は集中的な成長プログラムに向けての重要なステップと見なされますが、これは個人のイニシアチブに支えられたものです。これについて万国正義院は次のように書かれています。
スタディ・サークルや祈りの会、子供クラスの中にある首尾一貫性は、クラスター核活動を増やすためのごく自然な手段として反省会が活用されています。クラスター・レベルでの反省会は、人材を有し、拡大を続ける先進的な地域において特に効果を発揮しています。反省会では機構のメンバーや、インスティチュート・プロセスにかかわっているバハイの多くが集まり、5年計画に関する文献を学習し、経験を共有し、当該クラスターの課題の達成やクラスターの強みについて協議します。友らは「大げさな計画や複雑な計画を避け」29 協議の中から生まれた、個人やグループが実践を約束した活動や行動を反映する形で短期的な目標について合意に達します。通常、これらの目標は、それから2、3ヵ月の活動に組み込まれます。世界中の多くのクラスターでは、いかにして生産的で楽しい反省会を持つかが学習の重要な課題となっています。
2.3.4 すべての住民への呼びかけ強力なインスティチュート・プロセスを有するクラスターを、発展の次段階に引き上げるのに大きく貢献しているのが、バハイ共同体を一般社会に解放し、準備の整った人々を、その人数を徐々に増やしながら大業に導くということです。これらの先進クラスターの中には、インスティチュートの最初のコース参加者の大半が探究者という場合もあります。
系統的なトレーニングが、バハイたちに対し周囲の社会に入り込み、バハオラの教えを友人、家族、隣人、同僚らと分かち合い、彼らに彼の教えの豊かさを披露する道を開くことは明らかである。この外向き志向は草の根での学びがもたらした素晴らしい果実の一つである。30
これに関連して、万国正義院は、祈りの会や子供クラスが提供する可能性に満ちた機会について次のように注目しておられます。
これら二つの活動は共に、十分に考えられた、様々な、創造性豊かな手段をもって一般社会に向けて実施されるもので、これに引き寄せられた探求者の何人かはファイヤサイドやスタディ・サークルに熱心に参加している。その結果としてバハイに入信してくる多くの人は、最初から、成長のプロセスに積極的に参加することが共同体における自分たちの任務であると見なしている。31
北はアラスカから南はオーストラリアまで、西はアイルランドから東はインドまで、世界各地のバハイは、探究者を祈りの会に招くための独創的で魅力的なパンフレットを数多く作成しています。親戚や隣人、また、新聞の広告を見た人などが祈りと聖典朗読のためにバハイの会に加わっています。音楽を使って祈りの会を盛り上げ、最後に茶菓を出すなどの方法も広く用いられています。世界の75パーセントの全国共同体から届いた報告を総合すると、2002年10月現在、全参加者の20パーセントに相当する12,000人ものノン・バハイが祈りの会に参加しています。
この他にも、地域社会に呼びかけるためにある有効な方法が活用されています。それは、子供クラスを積極的に地域社会に広めることです。どの社会のどの階層でも、親は常に自分の子供をよりよい生活に導きたいと願っています。地域の子供に精神的な教育を提供したいというバハイの申し出に対する反応には非常に励まされるものがあります。世界の3分の2の全国共同体から届いた報告によると、子供クラスの全参加者の40パーセントに相当する27,000人がノン・バハイ家族の子供です。2002年10月現在、ボツワナ、レソト、ドミニカ共和国、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、プエルト・リコ、アンダマン・ニコバル諸島、ミャンマー、ネパール、タイ、マリアナ諸島、ルーマニアで、子供クラスの全参加者の75パーセントがノン・バハイ家族の子供であると報告されています。
インドのタミル・ナドゥ州の経験に成功例を見ることができます。子供クラスの教師としてのインスティチュート・トレーニングを終えたバハイが、自分たちのクラスター内の幾つかの村を訪問して公開集会を開き、劇やポスターを使いながら、子供たちが現代社会で直面する危険と精神的教育の重要性を訴えました。何十人もの両親が子供をバハイ・クラスに入会させた結果、目標クラスターのすべてでそれまでになかった子供クラスの増加が達成されました。以前、28のクラスを運営していた5つのクラスターでは子供クラスが計136に増えました。
バハイ・クラスに通う子供の親で受容性のある人や祈りの会に参加している人をスタディ・サークルに誘う系統的努力を行ったところ、どの場合も勇気づけられる結果を得ました。この人たちは、最初から、神の言葉をもってバハイ信教に導かれます。探究者を直ちにバハオラの書物に結びつける方法は例外なく効果的で、守護者の次の助言を思い起こさせます。「我々は、探究者を常に聖なる言葉に向けるように求められています。」32
とても安心させられるのですが、これらの活動には不当な圧力や改宗の勧誘がなく、バハオラの教えの精神的な糧を分かち合いたいというバハイの純粋な願いだけであるというに気付いたノン・バハイは、このことに肯定的に反応し、自ら進んでバハイの会に出席するようになります。インドのメドチャルで最近実施されたプログラムにこのような肯定的反応の良い例を見ることができます。公立工業訓練校の教師や学生80名に対してバハイの道徳教育に関する観点を説明した結果、参加者の半分以上がスタディ・サークルに加わりました。同様に、ルクセンブルクのバハイが催した子供の精神教育に関する公開集会では会の終わりにその地の住民10名がスタディ・サークルに登録しました。
2.4 先進的クラスターでの拡大の強化の加速化5年計画の二年目が終わろうとしている今、集中的成長に好都合な条件を備えた所として世界中で約150のクラスター名前が上がっています。これらクラスターのほとんどで、その地域の50~60パーセントのバハイが既にインスティチュート・コースに完全に取り込まれ、その内のかなりが現在の一連のコースをすべて完了しています。これら強い動機づけをもつ友らは地方精神行政会と顧問補佐に励まされ、その刺激によって育てられ、布教の分野で率先して次々と行動を起こしています。これらのクラスターでは核活動が急激に増大し、これら「隊をなす入信の表門」は今やバハイ共同体の新入信者の大半が通過する通り道となっているのです。
2.4 進んだクラスターでの拡大と強化を加速する5年計画の2年目の終わりに、世界中の約150のクラスターが集中的成長に適した条件に達したと見なされました。このようなクラスターの多くでは、インスティチュートプロセスの加速によって、50~60%の信者がインスティチュートコースに完全に関わり、その大多数が現行の一連のコースを終了しました。これらの強く動機づけされた友らは、LSAや大陸顧問団による励ましによって教育され刺激を受け、ティーチングの分野でますます個人的率先力を発揮していきました。このようなクラスターでの核となる活動の数は、急激に増加しました。バハイ共同体への新しい入信者のほとんどが、この「集団加入の扉」を通して加入しました。
熱意に溢れ、所有権に対する強い意志があることも、成長の集中プログラムを始める準備が整ったクラスターであることの特徴です。反省会への出席率は高く参加者は活気に満ちています。そのプロセスを所有しているという意識が、とりわけ献金の多さという形で現れてきました。モルドバやウクライナでの発達したクラスターの友らは、深刻な経済的困難に直面しているにも拘らず、すべての種類の基金に今だかつてない程の寛大さを示し献金をしています。ネパールの進んだ優先クラスターではNSA基金が前年の2倍になりました。
2.4.2 ティーチング活動の強化万国正義院は2001年1月9日付のメッセージで、成長のプログラムの核には「健全で着実な拡大のプロセスと、それに見合って同じほど強力な人材開発プロセスとがなければならない」こと、そしてティーチング活動には「個人による活動と機構が進めるキャンペーンの両方を含めた幅広いティーチングの努力」33が含まれることを述べておられます。
あるNSAへの手紙の中で万国正義院は、入念なティーチング計画の実施は、「多くの信者を奉仕活動に従事させる系統的トレーニングと結びついています。それは大業の成長を活気付け維持するための重要な一歩です」と説明されました。34
1月17日付のメッセージで、万国正義院は特にティーチング計画を集中的成長への第一歩と見なされました。
「受け入れ態勢にある人々に接して拡大速度を速める方法として、既に実施されている行動パターンに、注意深く計画されたプロジェクトが付け加えられています。」35
世界の多くのところで「多くの人をバハイに入信させることは、伝統的に難しいことではありませんでした」36。インスティチュート体系があることで定期的に新しい信者が増えている、進んだクラスターで、「拡大速度をより速める」ために、短期の直接的なティーチングプロジェクトを始めるのは時宜を得ています。インドのアンドラプラディシュ州にあるメダック・クラスターでは、最近5日間のティーチングキャンペーンが実施され、194人が入信し、内114人がすぐさまインスティチュートの第1レベルに参加しました。万国正義院は1月17日付のメッセージで、発達したクラスターでのこのような連続した活動を称賛されました。
「そのようなプロジェクトは、すでに個人の努力で高められていたティーチングのテンポを一層加速します。そして、大量入信が始まっているところでは、新加入者の何割かが直ちにインスティチュート・プログラムに入ります。というのも、今まで何度かメッセージで強調してきたことですが、このような友らは増加し続けるバハイ人口のニーズに応えるよう求められるからです。」37
ティーチングプロジェクトによる入信者の内、インスティチュートコースと核活動に参加する人の割合がかなり多くなった時点で、別の似かよったプロジェクトに取り掛かれます。ティーチングプロジェクトは成長を促進させる働きがあります。同時にこの拡大と強化の周期を継続することは、成長プロセスを加速させ持続させるのに役立ちます。
ティーチングプロジェクトが「注意深く計画されたもの」で、クラスター内の特定の層の参加をもくろんだものであれば、一層効果的なものとなるでしょう。ティーチングの手段や材料は、対象となる人達に合わせて調整できます。たとえば、特定の職業(学校の教師、大学生、弁護士)、民族(アボリジニー、中国人、ローマ人)、宗教(アニミズム信仰者、仏教徒、キリスト教徒)、女性、若者などの層が挙げられます。特定な層へのティーチングの適切な方法や状況が、経験によって豊富に蓄積されます。それを使って担当したバハイは、特別グループへの特定コースを企画することでインスティチュートを支援できます。そのようなコースは、基本的インスティチュートから分岐したコースとして、有能なティーチャーを生み出すためのものとなります。
2.4.3 集中的成長の発達パターンよく尋ねられる質問は、クラスターが成長の集中プログラムを始める準備ができているかどうか、どうやってわかるのか、というものです。見過ごしてはいけない1つの指針は、成長そのものです。つまりクラスター内のバハイの数の増加です。成長に導くものは、活気あるインスティチュートプロセスがあること、核活動とその合わさった活動が倍増していること、地方住民への奉仕活動が成功していること、益々多くの個人やグループが主導権を持ってティーチングに励んでいること、活気に満ちた共同体生活があること、進行中の学習プログラムが熱心に進められていること、などです。数の増加には、新しい入信者に加え、以前からバハイであった人で、地域での精神性や活動の活発化によって目覚め活動的になった人達も含みます。こうした要素によってクラスターは、2001年1月9日付のメッセージで万国正義院が明らかにされた、集中プログラムの条件に自然と近付き、またそれによって条件が育まれます。その条件とは、機関の間に「明白な協調性があること」と「適切なレベルの行政能力」などです。
成長集中プログラムの言わんとすることは、強化の一言につきます。つまり系統的成長に役立つ活動を強めることです。進んだクラスターでは、その地域での活動の活発さに明らかな変化が見られます。そしてそれが成長パターンに反映されます。成長の集中プログラムは、活動の速度にはずみがつき絶えることのないパターンを意味します。
3.行政機関の能力を高める5年計画の1年目に着手されたクラスター分けのプロセスは、行政機構が、「秩序ある組織化された強化拡大のパターンを実現させること」38を可能にしました。NSAや地域評議会は、人材開発トレーニングを柱に、発展途上のクラスターを考慮しながらそれぞれの活動計画をまとめました。活動的なクラスターの条件が整い加入者が増えた時、成長の集中プログラムを始めて良いかどうかを決めるのはその機関です。
集中的成長に達しそれを維持するには、機関の能力を高め新しいやり方を導入しなければなりません。報告によれば、徐々にではありますが、その能力が高められるのは、機関のメンバーがクラスターの発展パターンと成長のプロセスを直接経験した場合です。
3.1 成長のプロセスを管理する成長プロセスを促進し、監視するにあたり、バハイ機関は今まで広範囲の動機付けと組織化の能力を示してきました。それは学習態度が普及し、個人の率先力と集団の活動の間に調和が存在する時さらに高められます。
3.1.1 励みになる環境を育てる動機付けと成長促進の条件の内、最も重要なことは、万国正義院が1月9日付のメッセージで書かれた「ティーチングは信者らの人生の最優先事」になり、「互いに支えあい学ぼうと決意し、様々な活動を楽しむことはごく自然のこととなる」ような励みになる環境を育てる能力です。同じメッセージで万国正義院は、ティーチング活動が活発になるのは「たゆまぬ励まし」によると述べておられます。
集中的成長を準備しているクラスターでよく見られたことは、協力関係にある機関がバハイの間に信頼ある環境を築き、彼らの能力を利用し達成したことを誉め、小さなミスは見逃す、といった能力を発揮してきたことです。それはバハイ文化の顕著な特徴です。5年計画の成功は、機関と個人がこうした能力をどの程度発揮できるかに大いに掛かっています。ショーギ・エフェンディは、あるNSAに宛てた代理人による手紙の中で、大業のすべてのレベルの機関に関して、励ましをすることについて、次のように説明しておられます。
「・・・全国機関はバハイ共同体の中央で鼓動する健康な心臓のようなものです。それは精神的な愛とエネルギーと励ましをすべてのメンバーに注ぎ込んでいます。」39
3.1.2 クラスターレベルでの協力クラスター内で成長プロセスを実践するには、組織力と協調性が必要です。それは次の万国正義院の説明にあるような、新しい協力関係の中で行われています。
「集中的成長のプログラムを実行するには、機関、顧問補佐、アシスタント、地域ティーチング委員会の適切な協力が必要です。」40
このような機関が、集中的成長のプログラムに進むことに成功したのは、効果的な協力体制の中で、クラスター内の人材源を系統的に拡大し、その人材をティーチングや他の奉仕活動に動員できるようにした時です。彼らの努力の根底にあるのは、成功は「様々な活動の結合と今行われている学習への態度」41によるものであることを理解していることです。
機能しているLSAの存在するクラスターでは、調整をする委員会が大陸顧問や機関と協力関係にある組織として、地域のティーチング委員会や成長委員会の代役を果たしたこともありました。どちらの場合でもインスティチュートプロセスと系統的成長を促進させるという課題に対応するために、益々行政的な能力が必要とされました。中でも重要なのは効果的な協議を行う能力です。実りある楽しい反省会を企画する能力も、発達したクラスターの持つ特徴の一つです。
3.1.3 進行中の統計を集める成長プロセスを管理するには、統計を集めるといった実際的な技術が必要とされます。というのは成長をモニターするには、それが数値で計られることが重要だからです。インスティチュートコースを受けた人の数、核活動の数、その参加者の数、新しい入信者の数といった情報を定期的に記録することで、草の根で正確なデータベースを保存するようになってきました。クラスターレベルで統計を集計する際の特別な訓練が必要とされたこともよくありました。この作業で委員会に過度の負担をかけるようなことがあってはなりません。データを提供する目的は、成長を加速させるための計画や方法に役立てることであり、そのように扱われるべきです。最も有望とされるクラスターで3ヶ月ごとに統計を記録することは特に重要です。そうすることで集中的に成長するための適切な手段が得られるからです。
3.2 行政手段を再検討する各国の共同体内の行政的機構は、5年計画の第1目標を反映し支援するものでなくてはならないということが、次第にNSAによって理解されはじめてきました。初期の頃は地方と国の両方でのずらりと並んだ活動や宣布イベントのために、全国の委員会やタスクフォースが設立されたものでした。しかし今では、系統的成長の促進に焦点が当てられていて、NSAが任命する委員会の質や数に影響を与えています。NSAの中でも特に小規模な共同体をもつ国では、全国委員会の数を減らして5年計画の優先事項に多くの時間とエネルギーを掛ける方が有益であると考えるようになってきました。不活発な委員会を削除統合することで、NSAは国全体の信教の成長を監視するという本来の責任を全うすることが可能になりました。一方信者らも委員会のような活動から開放され、ティーチングに専念できるようになりました。
多くのNSAが本来の任務に当れるよう方向修正が可能になったのは、地域バハイ評議会が設立されたお陰です。万国正義院の指導に従い、徐々にNSAは数々の責任や権限を評議会に委任するようになりました。評議会は、地域での拡大と強化の計画を監督するという責任を負って、5年計画を実施する際の方法を分析しました。そして「地域の各クラスターが現在の成長段階から1段階上げるのに必要な条件」42を取り入れた行動計画を立てることができました。その結果NSAは重要かつ緊急の課題に焦点を当てられるようになったのです。そしてティーチングの計画や活動の優先順位は、草の根(地方)での条件をより反映するものとなりました。地域ティーチング委員会がティーチング活動を計画している国では、全国ティーチング委員会の監督下でこの集権排除が取り入れられ、同じような良い結果を出しています。
NSAや地域評議会からインスティチュート理事会への権限の委任も行われています。万国正義院は代理人によって書かれた手紙の中で、権限の委任とインスティチュートプロセスの行政に関し、以下の助言を与えられました。
「地域機関の理事会の場合、地域評議会の課題の一つは、明らかに理事会の職務とわかるものは理事会に委任し、その職務を果たす上での選択の自由を与えることです。同様に理事会は自らの日常の仕事の効率をあげるため、インスティチュートのコーディネーターに対し、十分な自由と権限を与えなければなりません。
コーディネーターは、日々の計画と活動を実施します。そしてインスティチュートの基本的機能が果たされているかどうかは、必要に応じてファシリテーター(tutor)や事務員(staff) の援助を得て確かめます。このように 実行レベルで働く必要があります。理事会は、主にコーディネーターの定期的なレポートや時折行われる協議をとおして、全体的なインスティチュートプロセスを監視します。理事会はコーディネーターと絶えず連絡を取り合い、意見交換したり助言を求めたりできる雰囲気を作ります。理事会の役割を果たす際に、理事会は、特定の任務を課せられた委員会ほどに頻繁に会合をもつ必要はありません。
地域評議会に関して言えば、その指導下にあるインスティチュートのような重要な機関が、本来の任務を果たしているかどうか、またその機能が十分行使されているかどうかに当然関心を持つべきです。またインスティチュートプロセスを通じて入信者がふえるにつれ、その人達が奉仕の分野で大規模な拡大と強化を補強するために使われていることを、評議会は確認しなければなりません。このような人材の増加と利用は、もちろん地域の各クラスターのレベルを一段階上げる計画の枠組みの中で実行されるべきです。」43
自主性の与えられたインスティチュート理事会は、そうでない理事会、つまりNSAや評議会の強い管理下におかれた理事会よりも、効果的にインスティチュートプロセスを進められたことが経験でわかりました。
3.3 個人の自主性を助長する多くの友らは自分達の奉仕の方向が、5年計画とその後の計画でのLSAの役割とどのように関わり合っているのかを強く知りたいと願っています。万国正義院はその課題に注目するよう呼びかけておられます。
「これらはすべてLSAに素晴らしい機会をもたらしてくれます。LSAの課題は、活気ある共同体生活を生み出し、周りの社会に影響を与え始められるように、豊かな人材の才能とエネルギーを利用することです。それには相談役となり、支えてくれる大陸顧問補佐たちとの協力体制が欠かせません。」44
個人が多くの核活動やその他の活動で努力するよう励ますことが、集中的成長のカギとなります。その助けをしてきたのがLSAです。LSAの霊感と援助により、多くの個人や集団の活動が生まれました。守護者はリーダーシップの役割について力説されましたが、LSAは、インスティチュートコースで学んだり共同体で献身的に奉仕する友らの主導権を理解し、彼らが楽にそれを発揮できるようにしてあげることで、リーダーシップの役割を果たしていることになります。守護者はこう言っておられます。
「個人の集まりや行政会の両方で発揮されるリーダーシップの第1の特徴は、信者のいる社会的環境のエネルギーや能力を活用することです。」45
今では範囲が広がりクラスターレベルで計画が立てられるようになりました。短期目標として、複数のLSAや信者の活発な参加を呼びかけた活動が組織作られることもよくあります。そのためLSAは境界を越えて活動し始めました。LSAの視界は広がり、資源は増大し、チャンスはたくさん巡ってきます。万国正義院は、クラスターミーティングの特徴を説明する際に、このより広い視点を持つことの特徴に言及しておられます。
「クラスターレベルの定期的会合で行われる協議によって、信教の成長についての一致した考えが生み出されることを、万国正義院は期待しています。それ故LSAの存在する場所を含んだ活動であれば、その承諾が簡単に得られるようであって欲しいものです。協議の目的は勿論現実の問題を話し合うことですが、それ以外に、出席者の前向きな情熱を消すことなく、奉仕の精神と仲間意識を育む目的もあります。手続き上の問題を懸念するあまり、討論が難航してしまってはなりません。討論の焦点は達成できることに当てられるべきです。また一生懸命努力したあとの実りを見る喜びに当てられるべきです。」46
3.4. 大勢の人のニーズに応える成長への挑戦は全ての段階で私たちの機構の潜在能力を試し、成長させるでしょう。しかし、これらの機構は、最終的には多数の人々に奉仕するために企画されました。全く「共同体建設のために能力を発達させる信教の能力の大部分が私たち構成員の規模にかかっています。」47 ショーギ・エフェンディは、成長は私たちの行政機構の潜在能力を実現させるための答えであると断言しました。
現在信者に持ち上がっている問題は、社会的なものであれ、精神的、または機構に関するものであれ、友らの数と人的資源が増え、彼らの奉仕能力が発達する時次第に解決されます。48
そして同じ調子で万国正義院はこう述べています。バハイ共同体の想像を絶するほどの拡大が、過去の全ての記録をはるかに越えて実現されなければなりません。……. この必要性は差し迫ったものであり、これ抜きでは、長い間の苦労でできた行政秩序諸機関は、深まる絶望の中で人類があげている希求の声に応じ、救護するという、その生来の能力を開発し、また充分に発揮できる場は得られないからです。49
成長の過程を導き保つ能力は、全ての段階の機構の能力と成熟に貢献するでしょう。万国正義院は4年計画の始めのレズワンメッセージの中でこの点を強調しました。
行政会の成熟度は会合の規則的なことと機能の効率によってだけでなく、バハイメンバーシップの成長の持続度によっても計られなければなりません。50
この成熟は、彼らが成長を促進し、増加する信者のニーズに答え、彼らの大業への奉仕を助けるとき、バハイ機構の能力の強化を通して実現します。
4.バハイ共同体の文化の変化4年計画の最後に万国正義院は「バハイ共同体の文化は変化を経験した」51と書いています。トレーニング・インスティチュートによりもたらされた「新しい形の思考と行動」52が個人、機構、共同体に意味深い影響をもたらしているこの新しい方向性への基本は、系統化と焦点への正しい認識、大業の仕事においてより多くの信者の支持を得ることに全力を注ぐこと、そして社会一般に意識的に手を伸ばすことに加えて、学びの姿勢でした。
クラスターや共同体レベルでは、学びの文化が根づき、それによって友らが目的に満ち、システマティクで活発な行動を約束する新しい原動力が出現します。
4.1 草の根での学びと計画進行中の5年計画の遂行にあたり、クラスターでの仕事の経験について、二つの重要な点が観察されました。一つには、反省会(リフレクション・ミーティング)がクラスターの学びの母体になってきたことです。これらの定期会議は信者たちが「問題点を反省し、解決策を話し合い、熱意と思考の一致を持続」53することを可能にしました。短期のゴールの価値はただちに認識され、成果と挑戦が定期的に評価されることができ、「障害がとり除かれ、資源が増し、学びがある」54目標の見直しが、行動の継続性を失うことなくなされます。学びの過程の必要条件として柔軟性と忍耐が奨励されます。友らは全ての答えが前もって制限されるのでなく、経験を通して獲得されるものであることをよく理解し始めます。この過程を説明して万国正義院は、こう述べています。
協議のための会はクラスター・レベルで開かれ、可能性を認識させ熱意を高めています。ここでは正式決定をする必要はなく、参加者は自分たちの経験を反省し、洞察を分かち合い、アプローチを調べ、五年計画の目標達成に自分はどのように貢献できるかについて理解を深めます。多くの場合、そのような相互作用は個人、および集団の短期目標について意見の一致をもたらします。行動に学ぶことは、現在浮かび上がっている運営方法の際立った特徴です。55
クラスターにおける仕事の重要な特徴の二番目は、計画立案の草の根への移動です。万国正義院はこれをクラスターの経験の目的の一つと述べています。しかし、この5年計画の実施における個人や地方機構の役割のためのその意味合いは最初だけ感じられるものです。ある地域における人材の現状によく無関係な「単なる目標の列挙」56というより、反省会の集まりでの計画作りは、現に可能な人材をベースにしたものです。計画作りの過程と個人が率先してやることを激励することにおいてトレーニングインスティチュートの影響が広く見られます。新しい洞察、技術、能力で武装して、個々人はクラスターからクラスターへと職務を始めるべく、彼らの地域の計画の中で立ち上がります。機構、特に顧問補佐の激励を通して、奉仕への熱意が増幅され、「組織的な行動に向かうよう」57導かれます。
4.2 焦点の維持世界のすべての国におけるバハイ機構間会議や他の集まりで、集団加入のプロセスを推し進めるための努力の中、友らにより実証された明確かつ共通の焦点として、一つの事柄が引き起こされました。万国正義院はこの発展を文化の変化と結びつけています。
4年計画が始まって以来、バハイ世界全体は、信教の形成期最初の世紀後半における世界規模の計画の共通の焦点により求められている、重大な変化―集団加入の過程の進展―を経験してきています。58
国や地方レベルで広い幅のゴールを追跡することに慣れて、多くのバハイは5年計画のこの最優先の目的を推し進めるために、ティーチングや他の奉仕の形をより直接的に集中するという挑戦に直面しました。一方「行動の多様性」が期待され、万国正義院のガイダンスはその行動のための明白な枠組みを用意し、信者らは「古い様式の考えは多くの点で価値があったのだが、急速な成長には役立たない」59ということに気がつくようになりました。
集団加入のプロセスの促進に焦点をおくことと相まることは、行動においてシステマティックであるという必要性の認識を成長させることです。成長は爆発的であったり、長続きしないものであってはならず、安定し、持続するものでなければなりません
プロセスとは明確な目標に向かって、方向づけられたシステマティックな一連の行動です。人材をトレーニングするためのシステマティックなアプローチはすでに実質的結果を生み出しており、クラスターの動きを通してのティーチングの組織化はその効果を実証しています。このドキュメントの始めに述べられているように、それは、5年計画の目的達成へ導くこれら二つの動きへ「集中し、持続して注目すること」です。
4.3 一般大衆に力を与えることクラスターではこの変化を「主な推進薬」と呼び、人材の数の拡大を生み出す能力をもったトレーニングインスティチュートは、バハイ共同体のアプローチを手近にある仕事へと抜本的に様変わりさせています。一般信者はかつてなかったほど意味深くまた生き生きと大業への奉仕に関与しています。祈りの集いを持つこと、スタディサークルのファシリテーターをすること、子供クラスで教えることなど、公衆の前でのスピーチに頼ることなく、多くの友らが奉仕の道を見出しています。トレーニングインスティチュートは、信者に「効率と愛をもって集団加入のプロセスへ導く」60のに必要な「精神的洞察力」「知識」「技術」を与えます。万国正義院はこの成就について感想を述べています。
成長のプロセスの様々な局面に多数の信者達が積極的に参加しているということは特に喜ばしいことです。これら拡大・強化の任務を担う人の数は、クラスターからクラスターへと着実に増えています。61
「個人の率先性の推進力」62に反映する信者の高まる自信と献身は5年計画の勢いを集結します。この点を万国正義院は友らに次のように新たな確証を与えました。
インスティチュートのプロセスを通して奉仕する能力において信者らが自身を得ているように、友らのさまざまな才能のより豊かな表現法がバハイ世界に現れ始めています。その豊かさは信教の未来のよい前触れです。63
4.4 外へ目を向けた姿勢万国正義院がバハイたちに5年計画の最初に、「地域の全て住民に向けて」スタディサークル、子供クラス、祈りの集いを開くことを呼びかけたとき、そのフレイズはバハイ共同体の文化の変化―信教が成長し、人類を包含する努力をすることと深くつながるという変化―を指摘していました。
地域のすべての住民に手を差し伸べることにおいて、私たちはバハオラの次の言葉に鼓舞されます――「この日、扉は天と地の双方により広く開け放たれている」64。私たちの共同体生活の入り口を外の世界に開く共同の努力をすることには勇気と想像力の両方を要します。バハイたちは、彼らの社会的サークル、最終的には友情を広げるために懸命に努力をしています。友情は心に触れる最も確かな土台ですから。この目的を遂行するために、彼らが信教に提供する奉仕を含めて、個々人は彼らの優先順位を検討し始め、また、彼らがより多くの時間を親戚、友人、同僚らとのやりとりに使えるよう彼らの生活を整理し直し始めました。つまり、もし私たちがティーチングするための人々に出会わないなら、より効果的な教師になるため励むことに何の意味があるでしょう?
外に目を向けた姿勢を持つことはまた、バハイが世界の舞台で作動している勢力と、バハオラの啓示によりもたらされた解決法をより深く理解することを提案します。私たちの仕事は、探求者に、私たちも同じ世界に生きていること、そして共通の試練に直面し、人類が長い間抱いてきた同じような願望を叶えようと努力していることを伝えることです。私たちの同胞との連帯の表現は心から発言され、誠実に受け取られるに違いありません。
5、バハオラへ向かう人類の動き我々が目撃していることは人類が群れになって大業に入ってくるプロセスの推進力であるということを確信しましょう。このプロセスは、バハオラがペルシャの王に宛てた書簡に予告され、師が心から望まれ、守護者が大衆改宗に不可欠の準備段階として述べておられました。65
すべての人が同じペースで学び、反応するわけではありません。しかし、バハオラへ向かう道は、そのペースにかかわりなく、すべての人が歩むに十分広いのです。「神の大業は全ての人が入る余裕がある」66という言葉は、探求者だけでなく信教の理解や受けとることに対して異なった観点を持つ人をも歓迎するということを意味します。開放性や包括性の態度を取り入れることは、信者たちが概してしばしば自分たちと一般社会の間に引きがちなはっきりした線を減少させる助けになります。
万国正義院が書いているように、信教の外の出来事は「神の大業によってのみかなえられる和合と正義を願ってこの宇宙をわれわれと分かち合う人々の心を目覚めさせること」67に役立っていると、あらゆる地のバハイたちは十分に気づいています。計画、キャンペーン、リフレクション・ミーティングの全てはこの聖なるメッセージを待ち望んでいる多くの人々に分ける方法を見出すことを目的としています。バハオラの「この日こそ声をあげる日」という呼びかけ、68そして、私たちは「バハオラの道へと人々を導き、人類の魂を訓練するため、心底から、自らを捧げて真剣に努力するべき」69であるとのアブドル・バハの警告を友らは思い出すべきです。
1